全国に数多くある同じ社名の神社
 神社の社名には、地名がついていたり、ご祭神に由来するものだったりとさまざまあります。

 なかでも神明社(しんめいしゃ)や稲荷神社(いなりじんじゃ)・八幡神社(はちまんじんじゃ)などのような同じ社名の神社は全国各地に大変多くあります。(社名の前に地名などがついている場合もあります。)

 これは、総本社といわれている神社を中心として全国各地に信仰が広まっていったためです。数が多いということは、それだけご神徳のある、人気の高い神さまだということがいえます。



神明社
(しんめいしゃ)

神明神社
(しんめいじんじゃ)

主祭神
 天照大御神(あまてらすおおみかみ)

総本社
 三重県にある伊勢神宮(いせじんぐう)

 伊勢神宮は内宮(ないぐう)と外宮(げぐう)とからなり、内宮には天照大御神が、外宮には食物をつかさどる豊受大御神(とようけのおおみかみ)がまつられています。
 古来から伊勢神宮は、皇室や国家のためだけにおまつりがおこなわれてきた、別格なる神社です。
 しかし中世以降は御師(おんし)と呼ばれる人々によって全国に伊勢神宮への信仰(しんこう)が広がり、「地域の鎮守様」として神明社が数多く建てられるようになりました。



稲荷神社
(いなりじんじゃ)

稲荷社
(いなりしゃ)

主祭神
 宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)
 (倉稲魂神とも書きます)

総本社
 京都府にある伏見稲荷大社(ふしみいなりたいしゃ)

 稲荷とは「稲成(いねなり)」が語源で、稲が育つようすをあらわしているといわれています。ですから稲荷神社におまつりされる神様は、稲をはじめとする食物をお守りする農業の神様でした。今は商工業の神様、商売繁盛の神様としても信仰されています。                                        

 稲荷神社といえばキツネを思いうかべる方も多いと思いますが、キツネは神様のお使いなのです。これを神使(しんし)といいます。

 また鳥居が朱塗(しゅぬり)なのは、朱色が災いをふせぐ色と考えられていて、神社などに多く用いられた影響が残っているためです。




八幡神社
(はちまんじんじゃ)

八幡宮
(はちまんぐう)

主祭神
・第十五代応神天皇(おうじんてんのう)
 <誉田別尊・品陀和毛命(ほむたわけのみこと)ともいいます>
・神功皇后(じんぐうこうごう)
 <息長帯比売命(おきながたらしひめのみこと)ともいいます>
・比売神(ひめのかみ)

総本社
 大分県宇佐市にある宇佐神宮(うさじんぐう)

 奈良・平安時代から、国や朝廷を守る神として崇敬(すうけい)されていました。
 八幡太郎義家(はちまんたろうよしいえ)は八幡神を源氏(げんじ)の氏神(うじがみ)とし、源頼朝(みなもとのよりとも)は鎌倉幕府を開いた際、鎌倉に鶴岡八幡宮(つるがおかはちまんぐう)を建てて幕府や武家の守護神(しゅごしん)としておまつりしたことにより、全国各地に広がっていきました。



諏訪神社
(すわじんじゃ)
主祭神
・建御名方神(たけみなかたのかみ)
・八坂刀売神(やさかとめのかみ)

総本社
 長野県諏訪市にある諏訪大社(すわたいしゃ)

 狩猟、農耕、水の神様として多くの信仰を集めています。
 中世には武田信玄(たけだしんげん)が社殿造営(しゃでんぞうえい)をおこなうなど、武勇(ぶゆう)の神としても有名です。
 諏訪大社で6年ごとに行なわれる『御柱祭(おんばしらさい)』という特殊神事(とくしゅしんじ)は有名です。



愛宕神社
(あたごじんじゃ)
主祭神
・火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)
・雷神(いかずちのかみ)

総本社
 京都市にある愛宕神社(あたごじんじゃ)

 火神(ひのかみ)、雷神(らいじん)をおまつりすることから火災や雷などの災いをふせぐ神様として、全国に広く信仰されています。



日吉神社
(ひよしじんじゃ)

日枝神社
(ひえじんじゃ)

主祭神
・大己貴神(おおなむちのかみ)
・大山咋神(おおやまくいのかみ)

総本社
 滋賀県大津市にある日吉大社(ひよしたいしゃ)

 日吉大社は天台宗(てんだいしゅう)と深く結びついたことから、「山王権現(さんのうごんげん)」とも称されています。



熊野神社
(くまのじんじゃ)
主祭神
・家都御子神(すさのおのみこと)
・熊野速玉大神(いざなぎのみこと)
・熊野夫須美大神(いざなみのみこと)

総本社
 和歌山県にある熊野三山(くまのさんざん)
(熊野速玉大社・熊野本宮大社・熊野那智大社)

 古くから熊野は山伏や修験(しゅげん)が修行をする霊地として知られています。また「紀伊山地の霊場と参詣道(さんけいみち)」は世界文化遺産にも登録されています。



住吉神社
(すみよしじんじゃ)
主祭神
・底筒之男命(そこつつのおのみこと)
・中筒之男命(なかつつのおのみこと)
・表筒之男命(うわつつのおのみこと)

総本社
 大阪市の住吉大社(すみよしたいしゃ)

 海上の安全を守る神として信仰されています。また、和歌の神様・商売繁盛の神様としても有名です。



白山神社
(はくさんじんじゃ)
主祭神
 菊理媛神(くくりひめのかみ)

総本社
 石川県の白山比盗_社(しらやまひめじんじゃ)

 農民は水神・龍神として信仰し、漁師は漁業・航海安全の神として信仰しています。



天神様
(てんじんさま)

天満宮
(てんまんぐう)

菅原神社
(すがわらじんじゃ)

主祭神
 菅原道真公(すがわらのみちざねこう)

 京都府・北野天満宮(きたのてんまんぐう)や福岡県・大宰府天満宮(だざいふてんまんぐう)が有名。道真公は学者として大変優秀であったので、学問の神様として信仰されています。



金刀比羅神社
(ことひらじんじゃ)

金比羅社
(こんぴらしゃ)

主祭神
 大物主神(おおものぬしのかみ)

総本社  香川県の金刀比羅宮(ことひらぐう)。

 航海安全・大漁祈願・商売繁盛の神様として信仰されています。